鶏のあばら骨

sed scientia est potentia

2018年1月に読んだもの

ここ数年思考力が落ちたような気がする。 仕事で効率的に成果を出そうとすると不必要なインプットとアウトプットが減る。 その結果、頭の中の「肥やし」が不足するばかりか、読み書きの能力すら衰える。 そこでリハビリのために簡単な読書メモを書き散らそう…

古代ローマ皇帝も朝起きたくなかった|マルクス・アウレリウス『自省録』

連休明けはつらい。私は少し長めに連休を取っていたことから、今朝は休みボケというか、なかなか仕事に行くスイッチが入らなかった。朝起きたくないために布団の上でしばらくグダグダしていたが、最後には観念して「出勤するフリだけするか」くらいの気持ち…

贈物が面倒に感じるのはそれが人付き合いを意味しているから

夏は贈物の季節でもある。お中元のCMが活発になるほか、3連休で旅行した人は友人・知人へのお土産を用意しただろう。お盆で帰省するときどんなお土産を用意しようか今から考えている人もいるかもしれない。しかし私はそうした贈物選びをしているときになにか…

入門用シューケアセットと箕子の憂い

とある一件でカタログギフトを頂いた。何を申し込もうかいろいろと悩んだのだけど、結局シューケアセットを頼むことにした。クリームも切れつつあったし、ブラシやクロスもボロボロになっているところだったからだ。 [エムモゥブレィ] M.MOWBRAY セントパト…

四分円法をめぐる雑談

A この前ブログで四分円法のことを取り上げたんだけど。 B うん。 A 調べてみたらアレ、出典が見つからないのよ。どうもアイゼンハワーの作じゃないっぽいんだよね。 B あーあるよねそういうの。ライフハッカーみたいな慣れないことを書いてたらガセネタを掴…

アイゼンハワーは四分円法を本当に使っていたのか

前回投稿した記事ではアイゼンハワーがよく用いたとされるタスク管理法「四分円法」を紹介した。 もし「ゆう活」に巻き込まれてしまったらアイゼンハワーの四分円法を試してみよう - 鶏のあばら骨chickenribs.hatenablog.com 実は書籍やネット上でこのテクニ…

もし「ゆう活」に巻き込まれてしまったらアイゼンハワーの四分円法を試してみよう

残業を削減するために夏季限定で朝型勤務を奨励する取り組みが、7/1より国家公務員を対象に実施された。いわゆる「ゆう活」である。「ゆう活」の背景には長時間労働を抑制する目的や日本版のサマータイム制を実現するといったねらいがある。 国の行政機関だ…

仁義原理主義者としての孟子

孟子は戦国時代の儒家である。人間の本性としての性善説を唱え、諸侯に対しては仁義の徳による統治(=王道主義)を行うことを主張した。倫理や世界史の教科書でよく目にする孟子とその思想だが、荀子の性悪説と対比すると性善説を唱えた孟子はなんとなく穏…

孔子は自分の人生を10年区切りで振り返った

生涯 儒教の開祖である孔子は春秋戦国時代末期の魯国に生まれた。名は丘、字は仲尼である。父は魯の武将であったが孔子が3歳の頃に死んだため、しかも母が正妻ではなかったため、孔子は幼少期から貧しい生活を余儀なくされた。しかし苦難の中にあっても勉学…

老人の役を演じるのは難しいらしい|世阿弥『風姿花伝』

先日、ある劇団で演出家として活躍されている方とお話しする機会があった。劇団の法人化に伴う煩雑さとか、テレビ業界でコネを作っておくべき人たちのこととか、役者と研究者の共通点とか、興味深い話が多かった。その中でふと世阿弥が「老人の役は難しい」…

論文執筆に必要なことは大抵この本の中にある|戸田山和久『新版 論文の教室』

2月の中旬といえば、ほとんどの大学4年生は卒論の提出や口頭試問が終わった頃だろう。一方、3年生はインターンシップを含めた就職活動にいそしんでる人も多いだろう。この背景には、経団連の倫理憲章の見直しに伴って就職面接の解禁が4月から8月に繰り下げら…

元祖自己啓発本|ベンジャミン・フランクリン『自伝』

大学生の頃、お酒の席で後輩の女の子から「社長やコンサルタントが書いた自己啓発本やハウツー本が好きなのでおすすめを教えてください」と言われたことがあった。私は食い気味で『フランクリン自伝』を薦め、著者ベンジャミン・フランクリンの略歴と本書の…

元祖ロジシン本|デカルト『方法序説』

大抵の人がロジカル・シンキング(ロジシン)、あるいはクリティカル・シンキング(クリシン)の本と言われて思い浮かべるものは、おそらくビジネス書の類ではないだろうか。今はコンサルタントの肩書を持った著者の思考術の本がよく売れるらしい。中にはコ…

文献リストを公開するのは勇気が要る

私は自分の本棚や論文の文献リストを他人に見られるのが恥ずかしい。なぜならそれらから自分の知的水準が透けて見えてしまう気がするからだ。学術論文での先行研究をレビューする際には複数の文献を比較しながら残された問題を発見する必要があるのだが、そ…

奨学金制度の歴史

奨学金制度とは、経済的・社会的な理由により教育の機会を得るのが困難な者を対象として援助を行う制度である。以前は育英制度と呼ばれることも多かった。現在の日本の奨学金制度は、日本育英会法に基づき主として独立行政法人日本学生支援機構が担っている…

統計分析初学者のための文献リスト

昨今ビッグデータへの注目によっていわゆる教養としての統計学に関心を寄せる方が増えたと聞く。また、現状としてデータ・サイエンティストと呼ばれる人の多くは情報学系のバックボーンを持ち、分析に際しては記述統計を主に扱って事象の予測を行うようだ。 …

本当はこわいニーベルンゲンの歌?

ヨーロッパ文化は古代ヘレニズムやキリスト教の影響を強く受けているとされる。しかし、それらに加えてゲルマン文化の影響を見逃すことはできない。ゲルマン文化の影響は例えば英語圏の曜日の名称に認めることができる。というのも、曜日名のいくつかはゲル…

グループで読書をする「輪読」のメリット

最近、近所の図書館や大学でビブリオバトルが行われているらしい。ビブリオバトルはいわゆる読書会の一種で、メンバーがそれぞれ持参した本について発表・紹介するものだ。しかし、読書会の形式の中では比較的近年になって登場したものと言える。むしろ大学…